夜景で有名な函館山にはロープウェイやバスで登るのが一般的ですが、実は散策コースが整備されており、歩いて登ることもできます。
というわけで、4月上旬に実際に歩いて登ってきました。その時の記録です。
標高334mと手ごろで、道もしっかりと整備されており歩きやすく、様々な角度から函館の街を眺めることができ、とても良かったのでおすすめです。
登山口へ
まずは登山口へ向かいます。
登山口はロープウェイ乗り場の近くにあります。
山頂が見えます。標高334mとあまり高くないので、案外近く感じます。
ロープウェイ乗り場から函館公園方面(坂を登ってきたら左方向)に少し進むと、函館山という案内が。
目印は「沙羅の月」というお食事処?でしょうか。
脇の道を登っていくと5分足らずで登山口に到着。駐車場もあり、車で来ることもできるようでした。
登山口には散策コースの案内図や、ふれあいセンターがあります。
ふれあいセンターでは函館山の動植物や散策コースについての情報を仕入れることが可能。
ちらっと中を覗いてみましたが、動物や植物に関する本などが置いてあったように思います。また、散策コースが記されたガイドブックも置いてあったので、いただいておきました。
というわけで、いざ登山です。
旧登山道コースで頂上へ
今回は最も標準的なコース、旧登山道コースで山頂を目指します。帰りは旧登山道コースから千畳敷コースに出て、地蔵山コース、七曲りコースを経て立待岬方面へ抜けるというルートを選択。
コース詳細は函館山ロープウェイの公式サイトで紹介されているので、そちらをご覧ください。その案内図で行くと、行きはⒻで登り、帰りはⒻから分岐してⒸに出て、Ⓑ~Ⓐを経由して下山、という感じです。
ちなみに函館山は展望台のある御殿山をはじめとする13の山々の総称らしく、コース名にある千畳敷や地蔵山はその中の一つだそうです。これまで全く知りませんでした…
旧登山道コースへの入口。
最初は整備された階段です。
少し行くと、すぐに道路にぶつかります。車やバスが通る函館山登山道路です。
ちなみにこの日(4月3日)は車道はまだ閉鎖中でした。
道を渡り、進んでいきます。
ご覧の通りとても緩い坂道で道幅も広く、歩きやすいです。歩いている人も多く、山頂までに15人くらいはすれ違った気がします。
登り始めて5分ほどで1合目に到着。
道路をさらに2度渡り、先に進みます。
ところどころにこのような案内板もあり、迷うことはないでしょう。
2合目。ところどころ雪が残ってはいましたが、夏靴でもなんとか歩けるような感じでした。
ただ、他の方を見ていると冬靴や登山靴のようだったので、雪がある間はその方が安心です。後でそのことを思い知らされることになりました…
しかし歩きやすいです。本当に「登山道」ではなく「散策ルート」という感じ。
6合目辺りまではあまり景色がよく見える場所もなく、ゆっくり登っていく感じでした。
途中、野鳥観察小屋がありましたが、老朽化のため閉鎖中とのこと。
雪がある場所の様子。多くの人が歩いて踏み固められているので、そこを歩けば大丈夫でした。
5合目で分かれ道があります。今回はいったん山頂へ向かい、その後引き返して千畳敷に向かいます。
6合目付近では雪がしっかり残っており、夏靴で歩くのはちょっと厳しくなってきました。
6合目を過ぎると視界が開け、山頂が見えてきます。もう少しです。
湯の川温泉、函館空港方面の景色も見えてきました。
7合目を過ぎると、つつじ山駐車場という開けた場所に到着。
つつじ山駐車場からの景色。おそらく南のほう(青森方面?)が見えているのだと思います。
ここからは階段を上り、道路を何度か渡りながら展望台へ。
この後降りていく立待岬方面の景色も見えてきました。
ほどなくしてたどり着いたのは漁火公園(いさりび公園)。函館山展望台の穴場スポットとして知られています。夜景の時間には展望台は混雑しますが、こちらは人が少なくゆっくりと夜景を楽しるおすすめスポットです。
漁火公園について詳しくはこちらの記事で紹介しています。
登山口からは1時間ほどで到着。さあ、景色は…
昼間の函館山からの景色
夜景にも劣らない絶景!
函館の街を一望できます。
函館駅周辺のホテル群や五稜郭、
湯の川温泉や函館空港方面もはっきりと(写真は画質が悪くていまいちですが)見えていました。
夜は見ることのできない、背景の美しい山々を眺めることができたのも良かったです。
漁火公園からの景色も十分きれいなのですが、さらに少し上にある山頂展望台を目指します。夜景観賞においても、ほとんどの方がこちらの山頂展望台を目指すはずです。
テレビ局の基地の間を抜けて展望台へ向かいます。
ここでも案内標識がしっかりとあるので、迷うことはありません。
展望台のやや下にある、山頂広場に寄り道。ここには写真のような「函館山」と書いてある碑があります。
この碑は中心部とはやや違う方向を向いており、夜だと微妙な感じになってしまうのですが、昼だと海や山も入ってきれいでした。
そしていよいよ山頂展望台へ。
この日はロープウェイも夕方からのみの運行だったため、誰もいませんでした。
函館の美しい景色を独り占めです。
北斗市方面。こちらも夜だと海岸沿いの家々の灯りしか見えないため、後ろにはすぐ山が迫っているのかと思っていましたが平原のような景色が広がっています。昼に登ってみないと分からなかったので、勉強になりました。
北海道新幹線ビュースポットなるものも。昼間ならよく見えるかもしれません。
函館の景色を満喫して、下山します。
千畳敷~地蔵山~七曲りコースで下山
帰りは途中まで登ってきた時と同じ道を下り、5合目で分岐して千畳敷コースに出て、その後地蔵山コース、七曲りコースを経て下山します。
函館山ロープウェイの公式サイトの地図でいくと、Ⓕで野鳥観察小屋の近くまで下り、そこから分岐してⒸに出て、Ⓑ、Ⓐを経て下山という感じです。
来た時と同様に、漁火公園を経てつつじ山駐車場へ。
さらに登ってきた道を通って5合目まで。山頂からは15分ほどで到着。
ここから千畳敷方面へ向かいます。
こちらは先ほどまでの道と比べると人通りが少なそうで、雪も多く残っていました。
このような雪道を10分ほど行き視界が開けてくると、牛の背見晴所に到着です。
ここも含め、様々な角度から函館の街を眺めることができました。
ここからは千畳敷コースに合流し、車も通れるような道を進んでいきます。
このコースは尾根伝いの道のようで、景色が良く見えていました。
牛の背見晴所から10分ほどで、千畳敷見晴台に到着。
ここで少し寄り道し、千畳敷要塞跡を見に行きます。
特に標識などはなかったのですが、広場の端にある階段を登っていきます。
これまでは函館の市街側を歩いていましたが、海側になったからか植生が大きく変わりました。
右に見えているのはおそらく松前半島、遠くにうっすらと見えているのは津軽半島でしょうか。
狭い道を進むと、要塞跡が出てきました。
日清戦争後、日露戦争を見据えて作られたものだそうです。
ここまでしっかりと形が残っている要塞も珍しいのではないでしょうか。
立ち入り禁止の標識などはなかったので、中に入っても良いようです。
外から見ると今にも崩れそうでビビりながら入りましたが、中は思ったよりしっかりしていました。何本か通路があったりして、思ったより大きかったように思います。
「崩れるんじゃないか」とか、「これ、本当に入ってもいいの?」などとびびり散らかしていたので、あっという間に出てきてしまいましたが、もっとゆっくり見ておけばよかった…
登山しなければなりませんが、見に来る価値のある遺跡だと思うので好きな方はぜひ。
再び見晴台に戻って、地蔵山コースへ。
ここからは道が細くなります。
電波塔の脇を抜けていきます。
が、このコースは看板がほとんどなく、正しいルートを歩いているのか不安になってくるほど。
道も細く、誰にも出会いません。千畳敷コースでは数人すれ違ったのですが…
そんなこんなで不安に思いながらも進んでいると、千畳敷見晴台から10分弱で地蔵山見晴台に到着。
しかしこのコース、初めてだと本当に不安になります。事実、僕が行った前日くらいに、同じルート(千畳敷~地蔵山~七曲り)で下山しようとした方が遭難したとのニュースがあったほど(無事だったそうです)。
ただ景色はきれいで、(おそらく)下北半島が見渡せました。街とは反対側の、津軽海峡の絶景を楽しむことができました。
ここからは七曲りコースになり下山するのですが、
ここまではなだらかだったのが、急に狭くて急な坂道になりました。
しかも雪もしっかり残っており、夏靴では滑る滑る。
ごらんの通り、けっこう急です。体力的にも下りだったのでまだ楽でしたが、上りだとかなりしんどいかもしれません。
スマホ片手に写真を撮りながら歩いていたのですが、何度が滑ってしまったため、これはまずいとリュックにしまって必死に下りました。
途中親子連れとすれ違ったのですが、冬靴&ストックという完璧な装備で来ていました。それに対して僕は普通の私服に夏服。完全になめていました。
必死で下って、やっと雪がなくなってきたのでカメラ復活。
ちなみに登山道の管理をされている方ともすれ違ったのですが、「その靴では無理だよ…」と半分呆れた感じで言われてしまいました。こんな浅はかな奴が次に遭難騒ぎを起こすのでしょう。
何はともあれ、なんとか下ることができて良かったです。
地蔵山見晴所から20分ほどで下山完了。
このコースは登るとしたらなかなかにしんどそうです。というか旧登山道コースが緩すぎたのはありますが…
旧登山道コースの入口から登山を始めておよそ3時間。雪がなければちょうどいいハイキング、という感じでした。
まとめ・感想
今回歩いて登ってみて、函館の街を様々な方向から、様々な高さから眺めることができてとても面白かったです。また、夜は見えない山々などが見えるなど、夜景とは違った風景を楽しむことができました。
特に旧登山道コースは非常に歩きやすく、ちょっとした散策にもぴったりなので、ぜひ登山してみてください!
ただし、雪のある時期や七曲りコースはそれなりの装備を忘れずに…
登山口までの移動や市内観光に便利な乗車券についてはこちら。
バスでの登山についてはこちら。
読んでくださってありがとうございました!