2021年9月、AIR DOひがし北海道フリーパスを使って札幌を起点に日帰り旅行を3回した。その1回目の後半。
新得から根室本線代行バスに乗車し、さらに根室本線、函館本線経由で札幌に戻る。
前半はこちら。
根室本線代行バスに乗車
根室本線は本来、滝川~根室間の長い長い路線であるが、2016年の台風の影響により、途中の東鹿越~新得間が不通になってしまい、代行バスが運行されている。
この区間は輸送人員が極めて少ないためJR北海道はバス転換を求めており、根室本線が鉄路で一続きとなることはもうなさそうだ。
代行バスの出発地、新得は石勝線と根室本線の分岐点で、全ての特急列車が停車する。
代行バスの出発まで少し時間があるので、少しだけ町の様子を探ってみる。
駅近くには温泉施設が。少し古そうだが、時間があれば寄ってみてもいいかもしれない。
小さな店が立ち並んでいる通りも人気は少ない。
駅前にはSLの前面と銅像があった。この銅像は、高温の運転室で機関士が懸命に炭を入れている様子を表したものだという。
根室本線の狩勝峠越えは急勾配で大きなエネルギーが必要だったうえ、トンネルがあったため運転室には熱がこもり、高温になる非常に過酷な状況だったようだ。
そんな狩勝峠も、今では後ろに写っているバスで簡単に越えられてしまう。
出発6分ほど前になって、代行バスが乗り場にやってきた。
4列シートの観光バスのような感じだ。乗り心地は普通列車よりはかなり良いだろう。
13時57分、15人ほどの乗客を乗せて、バスは新得を出発。もっとガラガラなのかと思っていたが意外に乗客は多い。18きっぷシーズンでもあったので、旅行者が多かった印象だ。
座席は進行方向左側に陣取る。狩勝峠の絶景を眺めるなら、新得→東鹿越なら左側、東鹿越→新得なら右側がおすすめだ。
ただ、こちらは太陽が当たる側でもありとても暑いため、多くの人は右側に座っていた。
新得はそばの産地で、「新得そば」の標識が多くみられる。これはその標識の近くにあったので、そば畑だろうか。
バスはかなりのスローペースで進んでいく。おかげで乗用車に抜かれるのはもちろん、バスよりも大きなトラックにも抜かれていった。もう少し速度を出したらいいのに…
バスは国道38号線に沿って走るが、途中で一旦脇道に入る。どこに行くのかと思っていると、到着したのはサホロリゾート。
どうやらこの代行バスは新得駅~サホロリゾート間の無料送迎バスも兼ねているらしい。ただし乗降はゼロ。果たして利用者はいるのだろうか。
サホロリゾートを出ると、再び国道38号線に戻り狩勝峠を登っていく。
登るにつれて少しずつ視界が開けてくる。峠を登りきるとどのような景色が待っているのだろうか。
左側を見ていると、「狩勝峠〇合目」と書かれた看板があるので分かりやすい。
かなり登ってきたところでトンネルのようなものに入る。そしてこれを抜けると…
十勝平野の絶景!
まさに北海道、という広大で素晴らしい景色だ。この景色を眺めるだけでも代行バスに乗る価値がある。ほんの10秒ほどなので、見逃さないようにしたい。
新得からは30分ほど。この後は峠を下っていくばかり。
15分ほど下り、14時41分、落合駅に到着。
ホームのほうは草が生え放題で、早くも廃駅の雰囲気が出ている。だが、待合所はかろうじて生きているようだ。
ちなみに乗客は右側に座っている人が多かったが、駅に着くと一斉に左に移動し、駅の写真を撮っていた。やはり乗客のほとんどは鉄道好きのようだ。
落合を出て15分ほどすると、徐々に畑などが広がり、開けてくる。
そして14時56分、幾寅駅に到着。
ここは高倉健主演の映画「鉄道員」のロケ地であり、駅前には撮影で使われた「だるま食堂」と車両が残されていた。
しかしおそらく、ここにはもう鉄道がくることはない。鉄道の撮影で有名になったのに、鉄道が消えてしまうとは皮肉なものだ。
撮影に使われた駅舎もばっちり残っている。ちなみにこの駅、「幾寅駅」が正式名称だが、撮影で使われた「幌舞駅」のほうが大きく表示されている。知らない人にとっては「??」となることだろう。
ここで5, 6人が下車。代わりに地元の高校生が2人乗車してきた。
高校生を見ると、コロナ禍において様々な制限がかけられているはずなのに大学生は勝手に旅をしていて申し訳ない、と思ってしまう。ただ、高校生は学校に通えているけれど、我々大学生はいまだに週1でしかキャンパスに通えていないんだ、少しくらい許して、と心の中で言い訳する。
幾寅駅を出て少しすると、根室本線の線路をまたぐ。
線路上はすでにかなりの雑草が生えていた。このまま雑草に埋もれてしまうのだろうか…
幾寅駅から10分足らずで、代行バスの終着東鹿越駅に到着。およそ1時間のバスの旅だったが、狩勝峠の絶景に映画のロケ地幾寅駅と、見どころ満載だった。
ホームには消えかかった「釧路方面」の文字が。もう釧路方面の列車が行きかうこともないだろう…
根室本線・函館本線で札幌へ
ここからは15時12分発の滝川行きで滝川を目指す。
車内はボックスシート。やはり乗り心地は代行バスのほうが完全に上だろう。この座席も嫌いではないけれど。
車内では車窓撮影用のビデオが設置されるなど慌ただしかった。この先も乗客のほとんどはやはり鉄道ファンらしい。
東鹿越駅を出発すると、列車はかなやま湖沿いを進む。木々の合間から湖が望める。
最後、橋を渡るときに一瞬だけ、かなやま湖の絶景が広がる。
この後は、列車は空知川に沿って進み、富良野を目指す。
線路沿いではところどころ岩盤が露出しているところが見られた。
石でも切っていたのだろうか。少し調べてみたが、よくわからなかった。
畑が広がり、住宅が増えてくると、富良野に到着する。
ここは美瑛、旭川方面への乗換駅。富良野、美瑛は個人的に大好きなエリアでよく来ているが、今回は通過し、このまま根室本線で滝川を目指す。
途中駅の平岸。平岸と言えば札幌市営地下鉄にもある駅名なので、思わず撮ってしまった。
富良野から1時間ほどで滝川に到着。17時2分発の特急ライラックに乗り換え、札幌を目指す。
途中、とてもきれいな夕日が見られた。スマホのカメラなのでなかなかうまく撮れなかったが、素晴らしい景色だった。
太陽が沈み暗くなり始めたころ、札幌に到着した。
これで1回目の日帰り旅行は終了。次の日はバイトがあるので旅行はいったん休みで、明後日に2回目の日帰り旅行に出る。
しかし広大な北海道で日帰り旅行を3回なんて何をやっているんだか…
2回目はこちら。
読んでくださってありがとうございました。